もしもあの時、風が吹かなかったら・・・・・・。
「大丈夫か？」
自分の目に飛び込んできた、鮮やかな黄金の髪。
そして、黄金の瞳。
出会いは偶然だった。
「・・・・見つけた。【黄金の薔薇】・・・・・。」
ただの御伽噺だと思っていた。
だが、確かに存在していた事実に、
知らず笑みを浮かべる。
男の狂気に歪んだ眼は、エドワードだけに注がれる。
「・・・・・マスタング准将夫人だと・・・・？」
漸く見つけたのに。
何故、他の男のものなのだ！！
これほど他人に憎悪を感じた事はなかった。
そして、運命の扉は開かれる。
「愛しているよ、エディ。」
「俺も・・・・ロイ・・・・・。」
バルコニーに出た二人は、月の光の中、ゆっくりと
口付けを交わした。
愛し合う２人に襲い掛かる過酷な運命。
「なら、奪うまでだ。そして、俺はそれを許される身・・・。」
「・・・・・・殿下。」
狂っていく夫に、女は悲しそうに眼を伏せた。
一つの狂気が全てを狂わせる。
「マスタング准将！ドラクマ国皇太子暗殺未遂の首謀者として
逮捕する！！」
運命の歯車は回る。終焉へと・・・・・。
「兄さん！！」
「アル。後を頼む・・・・・・。」
エドは結婚指輪をアルに託すと、車に乗り込んだ。
これは既に決められた【運命】だというのか。
ブリッグズ山さえ超えれば、この【黄金の薔薇】は、
永遠に俺のもの・・・・・。
腕の中で眠るエドを、満足そうな顔で見つめている
夫を、妻は静かに見つめていた。何の表情も浮かべずに。
もはや、誰にも運命を止められないのか・・・・。
「私に逆らうと、どうなると思う？不可侵条約を破棄するぞ！！」
勝ち誇った笑みの皇太子にロイは不敵な笑みを浮かべる。
焔の中、最愛の人を腕に抱きしめる。
「迎えに来たよ。エディ。」
「・・・・・・ロイ。」
焔に包まれてさえ、共にありたい・・・・・。
「ホークアイ支部長、全員準備が整いました。」
運命に抵抗する者。
「・・・・言いたいことはそれだけか・・・・？」
運命に挑む者。
「良かった・・・・。ご無事で・・・・。」
運命を受け入れる者。
「あんたの望んだ【黄金の薔薇】は・・・・・。」
誰も、こんな結末は望んでいなかったのに。
「これが、【黄金の薔薇】と初代皇帝・・・・・？」
運命は誰の手に・・・・・・。
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焔に包まれてさえ、ともにありたい・・・・・。
これは、某コバルト文庫のカンフーアクションという名のラブラブカップルの
シリーズ最新刊のオビの煽り文句です。（正確には”炎”ですけど。）
つい使ってしまいました〜。分かる方って、いらっしゃいます？
さて、１０月は大佐の結婚生活シリーズ初の長編シリアスです。
雰囲気でも味わってもらおうと、予告編をＵＰしました。
如何でしたでしょうか？
文章だけなので、イマイチ伝わりづらいかも。
イラストが描ければ、もっと雰囲気が伝わるのですけどね・・・。