ここから先は、裏鋼ネタです。
 もひとつおまけに、ロイは犯罪者です。
 それでもOKな方のみ、どうぞお進み下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

  

 

  大佐の結婚生活シリーズ番外編

           大佐の未来確定図

 

 

「ロイの馬鹿!!俺、実家に帰る!!離婚だ〜!!」
「待て!!エディ!!」
朝、上機嫌で自分を送り出してくれた、新妻エドワードが、
何故か酷く憤慨しながら、夫の勤め先の中央司令部へ
来たと思ったら、いきなり三行半を叩きつけ、泣きながら
執務室を出て行った。それを慌てて追うロイは、何が原因で
こんな事になったのか、しきりに考えて見るが、思い当たる
事はない。こうなったら、直接本人に聞くしかないと、
追いかけるスピードを速める。そのかいあって、
門を出る寸前で、エドワードを捕獲したロイは、愛しい身体を
きつく抱き締めながら、来た道を戻る。
「離せ〜!嘘つき男〜!!」
キャンキャン喚くエドに、さすがのロイも、ムッとして、エドワードを
ドサリと床に落とす。
「痛い!!」
床に座り込んでキッと自分を睨みつけるエドに、ロイは冷たい目を
向けると、片膝をついて、エドの顎を捉える。
「聞き捨てならないな。何時私が君に嘘を言った?」
「嘘ついた!俺、信じてたのに・・・・・・。」
ポロポロと泣き出すエドに、さすがのロイも困惑する。
「とにかく、じっくりと二人だけで話そう。」
いい加減、周囲の注目を集めている事に気づいて、ロイは泣いている
エドを抱き抱えると、自分個人の執務室へと行き、内側から
鍵をかける。
そのままソファーに座り、自分の膝の上にエドを座らせると、泣きじゃくっている
エドの涙を優しく拭いながら、ギュッとエドを抱き締めた。
「エディ。一体、何を怒っているんだい?訳を聞かせてくれ。」
困った顔で尋ねるロイに、エドは涙でぐちょぐちょの顔を、ロイから背けると、
ポツリと呟いた。
「・・・・男では、俺が初めてだって言っただろ?」
「ああ。そうだが?もっとも、君が男だからじゃなくって、君が君だから、
好きになったのだが?」
蕩けるような笑みのロイに、普段ならそれだけで機嫌が良くなるエドだったが、
今回は、機嫌が直るどころか、ますます怒り出した。
「それが嘘だってんだっ!!」
「何を言う!私の愛を君は疑いのかね?」
いくら君でも、許さないよと言われ、エドは再び大粒の涙を流す。
「だって・・・だって・・・ヒューズ大佐から聞いたもん!!」
その言葉に、ロイは嫌な予感がして、つとめて優しく尋ねる。
「一体、ヒューズの奴は、何を君に吹き込んだんだい?」
「ロイが・・・士官学校に入ったくらいの時に、男に恋をしたって・・・・・。」
そして、再び泣き出したエドに、最初ロイはキョトンとしていたが、
やがて、だんだんと笑い出した。
「何笑っているんだ!!」
急に笑い出したロイに、エドの機嫌は更に下降していく。
「すまない。君が嫉妬してくれた事が嬉しくて、ついね。」
「嫉妬じゃねー!!」
「嫉妬ではないなら、なんで離婚するって言うんだい?」
ニヤニヤ笑うロイに、エドは一瞬真っ赤になるが、直ぐに
拗ねて顔を横に向ける。
「俺、ロイに騙されたんだもん!だから・・・・・。」
「エディ。」
ロイの咎めるような声に、エドは反射的に身を竦ませる。
「エディ。私の話を聞いてくれないか?」
「・・・・・・・・・。」
無言で俯くエドに、深い溜息をついていたロイだったが、何故か
直ぐにニヤリと笑う。
「そう、あれは私の一目惚れだったな。」
その言葉に、エドは泣きそうな顔でロイを見た。
だが、ロイはエドを見ようともせずに、遠い目をしながら、当時を
思い出したのか、口元には笑みを浮かべていた。
「当時、士官学校の実習で、東部のある地方へ訓練に
赴いていた。その時、運命の出会いをしたのだよ。」
運命の出会いという言葉に、エドは堪らなくなって、ロイの膝の上から
降りようとするが、その前に、きつくロイに抱き締められて、逃れる
事が出来なかった。
「離せ!馬鹿ロイ!!そいつと結婚すれば良かっただろ!!」
本格的に泣き出すエドに、ロイはクスクス笑いながら言う。
「勿論、結婚したさ。君と。」
「はあ?」
その言葉に、エドはピタリと動きを止め、まじまじとロイを見つめる。
「君は覚えていないのかね?あの時、私と結婚してくれると
指きりげんまん、までしたというのに・・・・・。」
「何言って・・・・・。」
パニック状態のエドに、ロイは大げさに溜息をつく。
「お兄ちゃん、大好きとキスまでくれたぞ?」
「そんなこと、してねー!!」
怒り出すエドに、ロイは胸のポケットから手帳を取り出すと、
中から一枚の写真を取り出す。
「これに見覚えは?」
古ぼけた写真を一目見て、エドの顔に驚愕が走る。
「何で、この写真を持っているんだ!!」
記憶の彼方に葬り去りたい過去を映した写真に、
エドは慌ててロイから写真を取り上げようとするが、その前に、
ロイはエドの手の届かない、高みへと写真を持ち上げる。
「ロイ〜!!」
「これは、証拠写真だからね。いくら君でもあげられないよ。」
ニヤニヤと笑うロイに、エドは切れてさらに暴れだす。
「汚いぞ!俺を脅す気か?第一、そんな小さな頃の話なんて、
無効だ!!」
「無効?現に私と結婚しているだろ?」
何を今更と言うロイに、話が噛みあっていない事に気づいたエドは、
恐る恐るロイを見る。
「なぁ、ロイは、小さい頃の俺の写真をネタに、俺を脅そうとしている
んだろ・・・?」
「何を言っている?これは私と君が結婚すると約束した証拠写真だと
言っている。」
ふんぞり返るロイに、エドは安心したように息をつく。
「そっかぁ。てっきり俺の女装の写真をネタに、脅迫するのかと・・・・・
って、ちょっと待て!!何だ!その結婚の約束というのはっ!!」
ロイの問題発言に、エドは食って掛かる。
「おやおや。まだ思い出さないのかい?」
つまらなそうなロイに、エドの怒りは爆発する。
「思い出すも何も、小さい頃、俺はあんたと結婚の約束などしない!!
第一、あんたと初めて会ったのは、俺がまだ11歳の時だろうが!!
この時、俺まだ4つだぞ!!」
「では、君と一緒に写っている人物は誰だい?」
そう言われて渡された写真をよく見ると、自分のスカート姿で気が動転
していて、最初は気づかなかったが、写真の中の自分は、若い軍人の
腕に抱かれて、幸せそうに、頬にキスをしている。
「何だよ!この写真!俺初めて見るぞ!!」
「言っただろ?証拠の写真だと。あぁ、ネガがあるから、欲しければ何枚でも
焼き増ししてあげよう。」
「じゃなくって!」
怒り出すエドに、ロイは苦笑すると、懐かしそうに写真を見ながら、
エドに優しく言う。
「エディ。4歳の頃、森で迷子になった事を覚えていないかい?」
「迷子・・・・・?」
そう言われて、エドは考え込む。
「確かあの時、俺いつも服を汚してばかりいたから、母さんが怒って、
大人しくなるように、ウィンリィの服を着せて・・・・・・。」
記憶を辿るようにエドは意識を集中させtる。
「でもどうしても外に遊びに行きたくて・・・でも、そんな格好をしているところを
他の奴らに見られたくなくて・・・・そう、それで俺は、普段絶対に入っては
いけないって言われていた森に入って・・・・それで・・・・・・。」
途端、真っ赤になるエドに、ロイはにっこりと微笑んだ。
「思い出してくれたようだね。」
「あれって・・・・ロイ・・・・?」
上目遣いで見るエドに、ロイは優しく微笑むと、そっとエドの頬にキスを贈る。
「あの時は驚いたよ。森でサバイバル訓練をしていたら、目の前に可愛い
女の子が現われたからね。あまりにも好みだったから、そのままお持ち帰りを
しようと思ったのだが、ヒューズに阻止されてしまってね・・・・・。」
当時を思い出し、ロイは苦笑する。
「東の島国のとある物語に、幼い女の子を攫って、自分好みに仕上げるという
男の話があると聞いたが・・・・・・今の状況は、それを実行せよというお告げかな?
ヒューズ。」
まさしく、攫う気満々のロイに、ヒューズは涙ながらに訴える。
「おい!いくらなんでも、犯罪に手だけは染めるな!!」
「フン。面白くない。お前も親友なら、頑張れの一言もないのか。」
つまらなそうなロイを、ヒューズは無視すると、怯えている女の子の目線に腰を
落とすと、極力怯えさせないように、尋ねる。
「君はどこから来たのかな?ここら辺の子かい?」
「・・・・・ふえっ・・・。道に迷った・・・・・。」
クスンクスンと泣き出す子供に、困惑するヒューズとは対照的に、嬉々として
子供を抱え上げる。
「決まりだな。この子は私が・・・・・。」
「おい。俺のナイフを味わいたいのか?」
ピタピタとロイの頬にナイフを突きつけるヒューズに、ロイは乾いた笑みを浮かべる。
「冗談だ。ヒューズ。さて、この子を無事に家まで送り届けてくる。教官に見つかったら
うまい事言っておいてくれ。」
「あぁ。わかった。急いで帰って来いよ。」
二人の会話に、子供が割って入る。
「お兄ちゃんが、送ってくれるの?」
可愛く首を傾げる子供に、ロイはやはりこのままお持ち帰り決定だ!と
内心思うが、横でじっと自分を見ながらナイフを弄っている親友に気づき、
引きつった笑みを浮かべる。
「ああ、そうだよ。」
「ありがとう!じゃあ、とーかこーかん!」
にっこりと微笑む子供に、ロイの目が驚きに見開かれる。
「等価交換?もしかして、君の両親は錬金術師?」
「れん・・・なに?」
まだよく意味が分からないのか、子供はキョトンと首を傾げる。
「よく分からないけど、世の中はみんな、とーかこーかんなんだって。
だから、おにいちゃん、早く何か言ってよ!!」
子供の言葉に、ロイの顔がニヤリと笑う。その顔に気づいたヒューズは、
またよからぬ事を考えているなと、内心呆れる。
「そうか・・・・。では、等価交換として、君が大きくなったら、私のお嫁さんに
なってくれないかい?」
「お嫁・・・さん・・・?」
何それ?と無邪気に聞きかえす子供に、ロイはにっこりと微笑む。
「私とずっと一緒にいることだよ。」
その言葉に、子供は困惑気味にロイを見つめる。
「ずっと・・?お兄ちゃんと・・・?」
「ああ。そうだよ。」
子供は途端に泣きそうになる。
「お母さんは?アルとは?」
矢継ぎ早に質問する子供の言葉の中に、ロイはピクリと反応する。
「アルって誰だい?」
つとめてニッコリと子供に尋ねるが、内心は嫉妬の嵐である。
こんなに可愛いのだ。変な虫の1人や2人、おかしくない!害虫は
消し炭決定だな!と物騒な計画を頭の中で立てている時、
エドが泣きながら答える。
「アル・・・アルフォンス・・・弟・・・・。」
その言葉に、ロイは取り越し苦労だった事に気づき、ほっと安堵の
溜息をついた。
「そうだな。時々なら会ってもいいよ?」
「本当に?」
途端、ぱぁっと明るく笑う子供に、ロイも釣られて微笑む。
「お兄ちゃん大好き!!」
「では、大きくなったら、お兄ちゃんのお嫁さんになってくれるかい?」
「うん!なる!!お嫁さん!!」
嬉しそうな子供に、ロイは満足気に笑う。
「では、約束のしるしに、指切りをしよう。」
「うん!!」
嬉々として、差し出すロイの小指に、子供の小さな小指が絡まる。
「「ゆびきりげんまん。嘘ついたら針千本飲〜ます。指きった!!」」
キャッキャと手を叩いて喜ぶ子供に、ロイはふとあることに気づき、
その場で脱力しているヒューズに声をかける。
「そうだ、お前カメラを持っていたな。証拠写真を撮るぞ。」
「証拠写真って・・・お前本気か?」
呆れているヒューズにロイは当然とばかりに頷いた。
「当然だ。こんなに好み通りの人間に、これから先お目にかかれるか
分かったもんじゃない!キープしておくに、越した事はないだろう?」
「あ〜あ。ったく、お前は言い出したら後には引かないからな。」
どうせ、相手は子供だ。いくらなんでも、この子が大きくなるまで、
このことを覚えている訳はないだろう。第一、その前に、こいつは
結婚しているはずだ。まぁ、何かあった時の脅しのネタとして、
写真を撮っておくか。くらいのノリで、ヒューズは持っていたカメラで、
一枚写真を撮った。
「さて、そろそろお家に帰ろうか。ところで、君の名前は?」
未来の花嫁の名前をまだ聞いていないことに気づいたロイは、ニコニコと
笑いながら、子供に名前を尋ねる。
「名前・・・・?エドワード!!」
ニッコリと微笑む子供に、ロイとヒューズは固まる。
「エドワード・・・・だと・・・?」
引きつる笑顔のロイに、子供は、大きく頷く。
「そう!」
「・・・・男の子・・・?」
恐る恐る尋ねるロイに、子供・・・エドワードは嬉しそうに頷く。
「あったり前じゃん!」
途端、ガックリと目に見えて肩を落とすロイに、ゲラゲラ笑いながら、ヒューズが
追い討ちをかける。
「ほほう〜。ロイ・マスタングともあろう人間が、よりにもよって、男に・・・・。」
「行くぞ!エドワード。」
ヒューズの言葉を遮るように、ロイはエドワードを抱き上げると、スタスタと
出口の方へと足を向けた。
その後、そのネタで散々ヒューズにからかわれるロイだったが、数年後、
再びエドに再会したロイは、またしてもエドに恋をしてしまうのだった。
「やはり運命の出会いだったのだ!!」
そう開き直ったロイは、金と権力を最大限に利用して、エドを手に入れる
事に全力を尽くしたと言う訳だ。
「で、誤解は解けたかな?エディ?」
からかう口調のロイに、エドは己の仕出かした失態に、顔を青くさせる。
「あっ、俺夕飯の買い物に行かなくっちゃ!!それじゃあ!」
引きつった笑みを浮かべてエドがロイの腕から逃れようとするが、
ロイの腕は、まるで瞬間接着剤でも付けたかのように、ピクリともエドから
離れない。
「エディ。私は傷ついているのだよ・・・・・・。」
そう言いながら、ゆっくりと服の間からエドの身体に指を這わす。
「あん!ロ・・・・ロイ〜。」
性感帯を指で撫でられ、エドの身体はピクリと跳ね上がる。
「愛しているよ。エディ・・・・・。」
ゆっくりとエドの身体に覆いかぶさろうとした瞬間、扉の向こうから聞こえる
銃声に、2人は思わず固まる。続く、ドンドンという激しいノックの音に、
慌ててエドは固まっているロイを押しのけて、服を改める。
「准将!いるのは分かっています!!速やかに職務に戻ってください!!」
怒り心頭のホークアイの声に、漸く我に返ったロイが見たものは、そそくさと
執務室を出て行こうとしている、エドの後姿だった。
「あら?エドワード君。いらっしゃい。」
執務室から出てきたお気に入りに気づき、ホークアイは怒りを和らげた。
勿論、エドワード限定で。
「こ・・こ・・・こんにちは!ロイ、中にいるから。それじゃあ。俺行くね〜。」
エドワードは、真っ赤な顔でホークアイに挨拶すると、さよなら〜と、
ドップラー現象を起こしながら、走り去っていく。
「一緒に、お茶でも飲みたかったのに・・・・・。」
お気に入りに逃げられた怒りは、当然元凶へと向けられる。
ホークアイは、更に怒りを増幅させると、窓から逃亡を企てようとしている
上司の後頭部に、ゴリゴリ拳銃を突きつけながら、冷ややかに見つめる。
「准将、どちらへ?」
「・・・・・・・済まない。」
脱出に失敗したロイは、その後徹夜で仕事をさせられる事になる。
そして・・・・・・。
「さて。エディ。私はまだ怒っているのだよ・・・・・。」
「あん!ロイ〜。ごめんなさい〜。」
早朝帰宅したロイは、すぴょすぴょと、気持ち良さそうに眠っているエドを
美味しく頂いたのは、また別のお話。









                                 FIN

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裏鋼のヒューズの一言で、ここまで捏造してしまいました。
恐るべし!ロイエド!!馬鹿ップルですねぇ。
最近、自分が書くロイエドSSは、実はロイ犯罪記録なんじゃないかと
思い始めている今日この頃。大人で素敵なロイを書きたい気は
あるんですけどねぇ・・・・・。
感想を送ってくださると、嬉しいです!