12月5日 ハボック視点 最近、上官が酷く落ち込んでいる。 見ているこっちまで暗くなってきそうだ。 何でも、エドの奴にクリスマスデートを断られたらしい。 まぁ、それは当然と言えば当然だ。 なんせ、エドはれっきとした受験生。 クリスマスだと浮かれている場合ではないのだ。 それを、大佐には分からないらしい。 案の定、納得がいかないのか、一人でブツブツ言っている。 「受験生にも息抜きは必要だと思うのだが。」 「ああ、エディのミニスカサンタクロース姿が見てみたい。」 「折角、【マツリ・ド・ウエースギ】のディナーを予約したのに・・・・。」 などなど、エドの写真を見ながら、ブツブツ呟いている姿は、 はっきり言って、キモイ。おまわりサーン!ここに危険人物がいますよー。 大きな声で叫びたいが、ぐっと我慢する。それよりも、計画を実行する時が 来たのだ。ここで失敗するわけにはいかない。 幸いにも、この場所では、大佐と俺の二人きり。 もう、誰も俺の邪魔はさせん! 待ってて下さい!我が愛しの女神、リザ・ホークアイ! あなたの為に、最高のクリスマスデートを用意します! 男、ジャン・ハボック。 あなたの為に頑張ります! 決意を新たに、気合いを入れ直した俺は、徐に席を立つと、 ゆっくりと大佐の席に近づく。 「あー・・・・そうだ!大佐、エドの写真欲しくないですか?」 「何!?エディのだと!?」 案の定、エサに喰らい付いてきた。 「ええ。俺、お隣さんですからね。事あるごとに、写真を撮ってやってたんですよ。 小さな頃の写真とか・・・・マニア垂涎のお宝写真など、結構ありますよ。」 フハーとタバコの煙を天井に向かって吐き出すと、チラリと大佐を見る。 「・・・・・何が望みだ?」 腐っても鯛、もとい、大佐。俺を胡散臭そうな顔で見上げている。 そんな大佐に俺はニヤリと笑う。話が早くて助かったぜ。 「等価交換しましょう。」 俺の提案に、大佐は、探るような顔で俺の顔を凝視していた。 「嫌だ!」 ブンブンと首を横に振る大佐に、俺は縋りつく。 「いいじゃないですか!【マツリ・ド・ウエースギ】のディナー券を 譲ってくれたって!」 「あほか!私にだってまだ可能性が・・・・・。」 あくまでも、エドとのクリスマスデートの可能性を捨てきれない大佐に、 俺もヒートアップする。 「そんな訳ないじゃないですか!エドは合宿に行くのでしょう?だから、 俺が有効活用をですねぇ・・・・・・・。」 「うるさい!あそこのディナーを予約するのに、私がどれだけ苦労したか!! 絶対にエディと行く!!」 「いい加減、現実を見据えましょうよ。大佐・・・・・。」 その後、ディナー券を巡って、俺と大佐の攻防戦は、他の部署に書類を 出してきたリザが、ぶち切れて天井に向かって発砲するまで、続けられた。 |