LOVE’S PHILOSOPHYシリーズ【お子様編】      

         オールドローズの咲く家

                       後 編

   


         

         「嘘だ・・・・・・。」
         茫然となりながら、エドはきつくスコットを見つめる。       
         「嘘じゃないさ。」
         スコットは、ふと憐れみの目をエドに向ける。
         「あんたも、馬鹿だな。あんなろくでもない男の
         子どもを産んで。」
         その言葉に、エドはカッと頭に血が上る。
         「ロイはそんな人間じゃねぇ!!良く知りもしないで
         そんなこと言うな!!」
         「知っているさ。なんせ、イシュヴァールの戦いの
         時に、一緒に戦ったんだからな!!」
         スコットの言葉に、エドは絶句する。
         大人しくなったエドに気を良くしたスコットはニヤリと
         笑う。
         「戦争の時のマスタングは、本当に敵に容赦が
         なかったよな。人間兵器とは良く言ったもんだ。」
         「・・・・黙れ・・・・。」
         エドの制止の声も無視して、スコットはさらに言葉を
         続ける。
         「無抵抗な女や子どもも、イシュヴァール人だという
         だけで、奴は何の躊躇いもなく指を鳴らしていた
         ぜ・・・・・。」
         「・・・・・もう一度言う。黙れ。」
         スッとエドの眼が細められ、身体から怒りのオーラが
         放たれる。
         「それが、今では英雄?准将?人の人生を散々
         滅茶苦茶にしておきながら、良く平然としていら
         れるもんだ!」
         吐き捨てるように言うスコットに、エドはソフィアに
         フェリシアを渡すと、静かに席を立って、犯人に
         近づこうとするが、その前に、ロバートがエドの肩を
         叩く。
         「・・・・お義父さん・・・・。」
         泣きそうな顔のエドに、ロバートは穏やかに微笑んだ。        
         「スコット君。ロイが戦争で人を殺めたのは、
         確かに、非難されても仕方がないことだ。だがね、
         その事で、ロイはとても苦しんでいたんだよ。」
         「ふん。まさか?」
         あざ笑うようなスコットの言葉に、エドは泣きながら
         叫ぶ。
         「嘘じゃない!ロイは今でも苦しんでいるんだ!!
         時々眠れなくて苦しんでいるのも、俺は知っている。
         ロイはなぁ!そういう苦しいのを、全部自分1人で
         背負って、回りの人間に感じさせないんだ。でも、
         傷付かない訳じゃない!それどころか、人一倍
         傷付いているんだ!!」
         エドの脳裏に浮かぶのは、暗闇の中、月を
         じっと眺めているロイの横顔。
         年に一度、ロイは自分の中に閉じこもる。
         まだロイと上官と部下だった頃、たまたま
         夜中に東方司令部を訪れたエドは、灯りを
         付けずに、じっと月を眺めているロイを見てしまった。
         全てを拒絶するロイの姿に、エドは声をかける
         ことが出来ず、静かに見守り続けた。やがて、
         その日が、錬金術で初めて人を殺した日だと
         知ったのは、結婚してから。
         1人闇の中にいるロイを、初めてエドは無言で
         抱きしめる。
         ここにいるから。
         あなたは1人じゃない。
         そんな想いを込めて、エドは抱きしめ続ける。
         次の日の朝、知らずに眠ってしまった自分を、
         今度はロイが抱きしめていてくれて、嬉しそうに
         自分を見つめていてくれたことが、エドには
         嬉しかった。
         ポロポロ涙を流すエドを、スコットは、冷めた目で
         見つめた。
         「・・・・・・だったら何故、マスタングは彼女を
         捨てたんだ?」
         「でも!ロイは人を弄ぶような人じゃない!!
         俺はロイを信じる!!」
         エドの言葉に、逆上したスコットは叫ぶ。
         「うるさい!お前は黙れ!!」
         苛立ち紛れで、スコットはエドに銃を向ける。
         「エドワードちゃん!!」
         「危ない!!」
         慌ててロバートはエドを後ろへ庇うようにスコットの
         前へ飛び出す。そして、ソフィアは、フェリシア毎
         エドを自分の腕の中に抱きしめた。
         「うわああああああ!!」
         誰もが一瞬最悪の事態を想定したが、次の瞬間、
         スコットは、壁に激突していた。
         「ロ・・・ロイ!!」
         恐る恐る眼を開けると、そこには、大量の汗をかき、
         肩で息を整えるロイが、スコットから奪ったらしい銃を
         スコットに向けていた。
         「貴様・・・・・。よくも私のエディを・・・・・。許さん!!」
         ロイは怒りも露な顔で銃の引鉄を引こうとするが、
         滅多に声を荒げないロバートの一喝がロイの動きを
         止める。
         「止めろ!ロイ!!お前は、愛する妻と子どもの前で
         引鉄を引くつもりかっ!!」
         「・・・・父さん・・・・。」
         ハッと我に返るロイに、ロバートは表情を和らげる。
         「助けてくれて、ありがとう。ロイ・・・・。」
         「ちょっと!何ホンワカしてるのよ!!第一、ロイ!
         全部あなたの日頃の行いが悪いから、こうなるのよ!
         反省しているの!?」
         父の後ろでは、母が半分涙目になりながら、息子に
         文句を言う。
         「すみません。母さん。・・・・・エディ?」
         ロイは銃を床に落とすと、エドに向けて両手を広げる。
         「おいで。エディ。」
         「ロイ!!」
         ポロポロ泣きながら、エドはロイの腕の中に飛び込む。
         「ロイ!ロイ!!」
         「怖かったね。もう大丈夫だ。エディ・・・・。」
         ロイは愛する妻をきつく抱きしめる。
         「くそ・・・・。マスタング!貴様だけは許さん!
         「貴様は・・・・たしか、スコット・メルメ!!」
         ロイの言葉に、エドは驚いて顔をあげる。
         「メルメ・・・?」
         エドはスコットの顔を凝視した。
         そうか!どこかで聞いたような名前だと
         思ったんだ。
         エドは頭の中で最後の1ピースが当て嵌まるのを
         感じた。
         「ほう・・・・。お前が弄んで捨てた女の馬鹿な夫の
         顔を、覚えていてくれたとは、光栄だよ。マスタング
         准将。それとも、僅かばかりでも良心の呵責でも
         あったのか?」
         スコットの言葉に、ロイの眉が顰められる。
         「弄ぶ?何のことだ?」
         「しらばっくれるなっ!!貴様、俺が戦争で怪我を
         負って入院している事をいいことに、俺の女に
         手を出しただろう!!知っているんだ!!」
         「・・・・誓って言う。私は人妻に手は出した事は
         ない!!彼女とは・・・・。」
         「ふん。ただの遊びだったと?ふざけるな!
         俺は・・・それでも、あいつが一時の気の迷いだと
         自分に言い聞かせて、彼女との生活を守ろうとした!
         だが、彼女が俺を見てくれることはなかった・・・。」
         叫ぶスコットに、ロイも負けじと怒鳴り返す。
         「違う!人の話を聞け!!私と彼女の間には、
         何もない!!」
         「そんなのは嘘だっ!!俺は、彼女に振り向いてもらい
         たかった。だから、セントラルへ行き、事業に成功したら
         彼女に認めてもらえる・・・それだけを心の支えに、
         俺は一生懸命に働いた。だが、結果はどうだ?俺は
         友人だと思っていた国家錬金術師の口車に乗って、
         事業を失敗させた。もう、俺には何も残っていないと
         いうのに、お前は、地位も名誉も美しい妻も可愛い子どもも
         全て手に入れているじゃないかっ!!同じ戦場に
         立っていたというのに!国家錬金術師だと言うだけで、
         お前は全てを手に入れ、俺には何もない。俺の人生を
         壊したくせに・・・・なんでアンタは幸せになって
         いるんだよ!!アンタだけは許さない!俺と同じ
         気持ちを味合わせてやる!!ここにあんたを
         呼び出したのは、目の前で愛しい者を殺される
         絶望を味あわせる為だっ!!」
         悲痛な叫びのスコットに、エドは、テーブルの上に
         置きっぱなしにしてあった、薔薇を手に取ると、
         投げつけた。
         「こんのおぉおおおお!馬鹿旦那!!」
         「エ・・エディ・・・・?」
         本気で怒りを露にするエドに、ロイは驚いた顔を向ける。
         「あんた・・・・奥さんがどんな気持ちで、薔薇を作って
         いたか、知っているのかっ!!」
         「なっ・・・!!」
         エドは、ロイの腕から抜け出すと、テーブルの上の薔薇を
         一輪手に取ると、スコットにつきつけた。
         「これは・・・【コーネリア】?」
         茫然とした顔で薔薇を受け取るスコットに、エドは悲しそうな
         顔で見つめた。
         「あんたの奥さん、カトリーヌ・メルメさんって言うんだろ?」
         「ああ・・・・そうだが。何故君が知っている?」
         訝しげなスコットに、エドはやはりと溜息をついた。
         「俺、二年前に、カトリーヌさんに命を助けられたんだ。」
         ポツリと呟くエドに、ロイは驚いてエドを凝視する。だが、
         エドはロイを無視して、スコットに訴える。
         「カトリーヌさん、言っていたよ。自分は夫の心の闇を
         癒す事が出来なかったって。でも、どうしても何かしたくて、
         夫の好きな薔薇を植える事にしたって言っていた。
         いつか夫の闇が少しでも明るくなれるようにって。」
         「そんな・・・嘘だ・・・・。」
         動揺するスコットに、エドは首を横に振る。
         「嘘じゃない!!カトリーヌさんは、今でもアンタを
         待っている!子どもと一緒に!!」
         「子ども・・・?」
         唖然とするスコットの手に、エドは持っていた薔薇を
         持たせる。
         「あんたが出て行って直ぐに、カトリーヌさんは、妊娠に
         気づいたんだって。女の子だったから、昔あんたが
         子どもに付けたがっていた、【コーネリア】って
         つけたんだ。2人がアンタを待っているよ・・・。
         だから・・・・・。うっ・・・・。」
         エドは、いきなりお腹を押さえると、青い顔をして、
         その場に崩れ落ちた。
         「エディ!!しっかりしろ!医者を早く!!」
         床に倒れる寸前で、ロイはエドを抱きとめると、
         寝室に向かって歩き出す。
         「大変!あなた!!」
         「ああ!ロックベルさんだね!!」
         フェリシアを抱いたソフィアが、ロバートを縋るように
         見ると、ロバートは心得たように頷いて、ピナコを
         呼ぶために、部屋から飛び出した。




        極度の緊張と興奮から、エドは破水してしまっていた。
        「精神的なダメージが強い。おまけに、エドの身体は
        未熟な部分が大きい。もしかしたら・・・・最悪の場合を
        覚悟しておくんだね。」
        幾分青ざめた表情のピナコに、ロイは目の前が真っ暗に
        なるのを感じ、腕の中にいる愛娘フェリシアをギュッと 
        抱きしめた。
        「ロイ義兄さん・・・・。」
        「ロイ、大丈夫だよ。」
        「そうよ。気をしっかり持ちなさい。」
        義弟と両親の言葉に、ロイはふと穏やかな笑みを浮かべる。
        「大丈夫。さっきエディが私を信じてくれたように、私も
        エディを信じている。彼女が私やフェリシアを置いて、
        どうかなるなんて、ありえない!!」
        きつく唇を噛み締めて、じっとエドがいる部屋を凝視する
        ロイに、後ろからスコットが沈んだ表情で声をかける。
        「すまない・・・。謝ったって許してもらえんが・・・・。」
        項垂れるスコットに、ロイは振り返らずにポツリと
        呟いた。
        「メルメ夫人は、ずっと君の事で悩んでいた。戦争で
        人を殺した事で、自分を責めている君を見ていられなかった
        そうだ。だから、同じ戦争に行った私に尋ねてきた。
        どうやったら、心の傷を塞ぐ事が出来るのかと。」
        「あいつが・・・・。」
        スコットは、驚きに目を見張る。
        「その言葉を聞いたとき、私はとても羨ましかった。
        私には愛する人がいないのに、愛する人が君にはいて、
        そして彼女の必死に君を支えようと健気に頑張っている
        姿を見て、君に嫉妬した。」
        「・・・・マスタング。」
        じっと静かにロイの言葉に耳を傾けるスコットに、
        漸くロイは後ろを振り返った。
        「愛する人を信じてやれ。そして、今度こそ、幸せになるんだ。」
        「・・・・マスタング、俺は・・・・。」
        肩を震わせるスコットに、ロイは労わるように言った。
        「後の処理は私にまかせて、君は奥さんの元へ
        帰ってやれ。」
        「しかし・・・・!!」
        戸惑うスコットに、ロイは大きく頷いた。
        「幸せにな。」
        「ありがとう・・・。マスタング・・・・。」
        涙を流すスコットに、マスタングが肩を叩こうとしたが、
        次の瞬間、産声が部屋の中から聞こえ、ロイは慌てて
        振り返った。
        「エディ!!」
        扉から顔を出したのは、ウィンリィだった。
        「おめでとうございます!今度は男の子ですよ。」
        その言葉に、ロイは嬉しそうに微笑むと、フェリシアを
        抱いたまま、部屋の中へと飛び込んでいく。
        「エディ!良くやった!!」
        ロイは、ベットの上に横たわっている妻の顔に
        KISS雨を降らせながら、エドの乱れた髪を
        丁寧に直していく。
        「ロイ・・・・。」
        子どもを産んだばかりのエドは、乱れた呼吸を整えながら、
        幸せそうに夫を見上げた。
        「フェリシア〜。君の弟だよ。かわいいね〜。」
        ロイは、フェリシアを、エドの横でスヤスヤと気持ち良さそうに
        眠っている、生まれたばかりの弟に会わせる。
        弟が生まれた事をわかっているのか、フェリシアは、
        嬉しそうにニコニコ笑った。
        「髪はエド譲りだけど、顔つきは、マスタングさんに似ています
        ね。」
        赤ん坊の顔を覗き込んで、ウィンリィがそんな事を言う。
        それに、ますます機嫌を向上させたロイは、ふといつもなら
        自分を差し置いて、エドにべったりな母親の姿が見えない
        事に気づいて、辺りを見回して、愕然とした。母親どころか、
        父親、そして、エドワード大好き少年の義弟のアルフォンスの
        姿すらない。困惑するロイに、ウィンリィは、クスクス笑いながら、
        道具を片付ける。
        「暫くは、親子だけにしておこうっと、満場一致で決まった
        んですよ。それじゃあ、私も出て行きますね。ごゆっくり〜。」
        「なっ!ウィンリィ!!」
        真っ赤になるエドに、ウィンリィは手をヒラヒラさせると、静かに
        部屋から出て行った。
        「・・・・エディ。ありがとう・・・・。」
        ロイはフェリシアをベットの脇にあるベビーベットに静かに
        寝かせると、エドのところにもどり、そっとその身体を
        抱きしめた。       
        「愛しているよ。君に出会えて良かった・・・・。」
        「俺も、愛している。ロイ・・・・。」
        エドは眼をそっと閉じると、ロイの熱い唇を受け止めた。




        その後、生まれた息子は、ロイとソフィアの名前命名合戦を
        経てロイが考えた【レオン】と名付けられた。
        「なんで、レオンなんだ?」
        首を傾げるエドに、ロイはミルクを飲んで、お腹一杯の
        レオンの頬を軽く突っつきながら、蕩けるような笑みを
        浮かべた。
        「見たまえ。私に似て、この子は王者の風格があるでは
        ないか!」
        「へーへー、そう言う事にしておいてやるよ。」
        クスクス笑うエドに、ロイは愛しそうに微笑んだ。
        「ライオンのように、強く賢く育って欲しいのだよ。愛する
        者を守れるように、強く優しい子になってもらいたい。」
        「ロイ・・・・。」
        エドは嬉しそうにうっとりと微笑むと、ふと気になっている
        事を尋ねた。
        「ところで、スコットさんの一件はどうなったんだ?」
        マスタング准将の家族の命を狙ったとして、かなりの
        罪状が付けられるだろう。しかし、スコットは、命の
        恩人である、カトリーヌの夫。長い間離れ離れになって
        いた2人に、これ以上辛い想いはさせたくないと
        思っていたエドだった。
        「その事なら、心配はいらないよ。エディ。私が
        リゼンブールを訪れたのは、妻の出産に立ち合う
        為だし、人質立て篭もり事件は、いたずら電話として
        処理されたからね。」
        「・・・・・いいのかよ。そんないい加減な事をして・・・。」
        嬉しいが、あまりにもあからさまに揉み消すと、今度は
        ロイの立場が悪くなるのではと、エドは心配そうに
        尋ねる。
        「大丈夫だよ。今回の事件に関わっている人間は、
        身内だけだからね。それに、有能な副官もついて
        いることだし?」
        茶目っ気たっぷりに、ロイはエドにウィンクする。
        「ありがとう!ロイ!!それにしても、俺焦って
        たんだ〜。怒りで我を忘れたロイが、スコットを
        消し炭にするんじゃないかって!」
        あっけらかんと言うエドに、ロイは苦笑する。
        「スコットは昔の私だよ。自分が傷付きたく
        なくて、愛する人を傷つけてしまう。幸いに、
        私は直ぐに軌道修正出来たから、良かったんだが、
        もしも私とエディがすれ違ったままだったら、レオンも
        生まれなかったと思うとな。スコットを他人事として
        考えられなかったのだよ。」
        憂いを帯びたロイの微笑みに、エドはきつく抱きしめる。
        「ロイ〜。」
        「エディ。今回の事で私は思い知ったよ。夫婦なんだから、
        不安に思うことなど、何でも言い合おうと。」
        エドの髪を梳きながら、ロイは耳元で囁いた。
        「うん!俺も同じことを思った!だからね、ロイ。」
        エドは真っ赤になりながら、ロイを見上げると、そっと
        唇を重ね合わせた。
        「今の俺の気持ちはね、【ロイが好き!】だから!」
        真っ赤になって俯くエドに、ロイは幸せそうな顔で
        エドをきつく抱きしめる。
        「エディ・・・・。今の私の気持ちは、【エディを愛している!】
        だよ・・・・・。」
        ロイはそう言うと、エドの唇を深く口付けた。
        「ところでだね、エディ・・・・。」
        激しいKISSの後でぼーっとしているエドに、ロイは蕩ける
        ような笑みを浮かべる。
        「カトリーヌが君の命の恩人というのは、一体どういう
        ことなんだい?」
        「え?そ・・・それは・・・・・。」
        何とか誤魔化そうと、視線を反らせるエドに、ロイは
        溜息をつく。
        「エディ・・・・。今さっき夫婦の間で隠し事をしないと
        約束し合っただろう?」
        「そうだけど・・・・・。」
        ダラダラと冷や汗を流すエドは、その後執拗なロイの
        愛撫に陥落して、怪我をした事を白状させられてしまった。
        「おのれ・・・。私のエディに!!」
        既に大総統によって、過分なる罰が与えられていたが、
        それでも怒りが収まらないロイが、刑務所を襲ったのは、
        また別のお話。



        
        「うわぁああ!綺麗!!」
        漸くエドが子どもと共にセントラルの自分の家に帰って
        来たとき、中庭に造られた薔薇園を見て、歓声を
        上げる。
        「気に入ったかい?この薔薇は【フェリシア】というんだよ。
        今日は、フェリシアの一歳の誕生日だからね。」
        そう言うと、ロイは腕の中に抱いているフェリシアに
        笑いかけた。フェリシアも、薔薇を見て気に入ったのか、
        キャッキャッとはしゃいでいた。
        「本当は、【エドワード・エドガー】という品種もあったんだがね、
        マスタング姓でない君の名前を聞きたくなかったんだ。」
        だから、【エドワード】という名前の品種を今開発している
        最中なんだよと、蕩けるような笑みを浮かべるロイに、
        エドは真っ赤になるのだった。
        
        
        


       
        
                                    FIN


 
                 
                



*********************
最後は、またしてもご都合主義爆裂!
しかも、テーマの【夫婦愛】はクリアー出来ているのか?
かなり不安・・・。


いい夫婦を進める会では、オールドローズをイメージフラワーに
しているらしいです。オールドローズを色々調べていくと、
なんと【フェリシア】という品種があることを知って、今回の
お話が出来上がりました。レオン君誕生秘話なのにね・・・・。

SSを気に入って頂けた方は、BBSに一言書き込んでから、
お持ち帰りして下さい。