【お題: 月】

 

             月下天使

 

 

              慈愛の笑みを浮かべ、
              月明かりの下で佇む君の
              あまりの神々しさに、
              伸ばしかけた手を止める。
 

              俺はお前の横に立つに相応しい男だろうか。

 

              らしくもなく弱気になる自分に、苦笑する。
              

              「待たせたな。アンジェリーク。」
              気を取り直して、俺はゆっくりとした足取りで
              彼女に近づいた。
              「オスカー♪」
              その声に気づいたのか、顔を上げた彼女の顔は、
              先ほどまでの神々しい程の雰囲気をガラリと変え、
              いつもの、俺だけのアンジェリークの顔で
              足早に俺の方へと駆け出してきた。
              「遅いです!オスカー!!」
              勢い余って俺の胸に飛び込む天使を、
              俺はしっかりと抱え込む。
              金色の髪が、月明かりを反射し、とても
              綺麗だ。
              思わず見惚れていた俺に、アンジェリークは、
              にっこりと微笑むと、悪戯っぽい眼を俺に向ける。
              「良かった。あんまり遅いから、約束を忘れてるのかと
              思っちゃった。」
              「そんな訳ないだろ?」
              軽く額をを指で押すと、アンジェリークは頬を膨らませた。
              「だって〜。」
              あまりにも遅かったんだもの・・・・・。
              しゅんと項垂れるアンジェリークの顎を持ち上げると、
              軽く触れるだけのキスをする。
              「オ・オ・オスカー!!」
              真っ赤になるアンジェリークの身体をそっと抱き締めた。
              「姫を待たせるとは、騎士失格だな。すまなかった。
              アンジェリーク。」
              耳元で囁くと、アンジェリークは頬を紅く染めながら、
              微笑んだ。
              「待っている間、オスカーの事をずっと考えてたの。
              そうするとね、ずっとここが・・・、胸が温かくなって、
              とても幸せなの・・・・・。」
              「俺もそうだ・・・。ずっとお前の事を・・・・お前の事だけを
              考えている。・・・・愛している。アンジェリーク。」
              俺はきつくその身体を抱き締めた。
              
              

 

 

 

               俺は月明かりの下、
               天使を抱き締める。
               その純白の羽で
               大空へと羽ばたかないように。
               その慈愛の瞳を他人に
               向けないように。

               太陽の下では、
               君はその純白の羽を広げ、
               自由に羽ばたき、
               慈愛の瞳を惜しげも無く
               他人へと注ぐ。

               無駄の足掻きだと知りつつも、
               せめて月の下では
               俺だけの天使でいてくれるよう、
               俺は天使をきつく抱き締めるのだ。


               夜明けが訪れるその時まで・・・・・・・・・・。





 

                                                  FIN

 

 

      久々のオスカー×リモージュ。
      書き方、思いっきり忘れてる・・・・。
      偽者100%って感じですねぇ。
      全然ラブ度なし。
      すみません〜。