「もしも、世界が突然終末を迎えたら、あなたはどうしますか?」
よくある世紀末特集番組での一コマ。新宿で行われた街角インタビューに
答えているのは、俺が一番良く知っている人物だった。
「んなの、ひーちゃんと一緒にいるに決まってんじゃねーか!!」
プツリ。俺はテレビを切ると横にいる京一を睨んだ。
「?どうしたんだ?ひーちゃん。」
だが、対する京一は、俺が怒っている理由が判らず、目をきょとんと
させている。
「京一〜。今のは何だ?」
俺は今消したばかりのテレビを指差した。
「あぁ、この前、部活でひーちゃんと一緒に帰れなかった時があった
だろ?そん時に、インタビューを・・・・。」
「そんな事聞いてない!!」
俺はテーブルをバンと叩くと、京一の胸倉を掴んだ。
「なんで俺の名前を出すんだよ!!俺、もう明日から学校へ行けないだろ!!」
「なんで?優等生のひーちゃんの台詞じゃないじゃん。どうかしたのか?」
落ち着け。落ち着くんだ。
10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・・・・・。
数を数えるのは10と決めている為、その間は精神を静める為に深呼吸を
繰り返した。そして、京一の耳元で叫ぶ為に、大きく息を吸い込む。
「・・・・だって、本当のことじゃねぇか。」
京一の一言に、俺は怒鳴るタイミングを失ってしまった。
「ひーちゃんが、何を気にしてんのか知んねぇけど、俺は世界が終わろうが始まろうが、
ずっと一緒にいるって決めたんだ。それを言って何が悪い?」
真っ直ぐに俺を見つめる京一に、俺は何も言えずに黙り込む。
「ひーちゃんとずっと一緒にいたい。」
「・・・・・・・。」
俺も・・・もちろん、俺も京一と一緒にいたい・・・・。
「なぁ、ひーちゃん。」
京一は俺を引き寄せると、優しく抱き締めた。
「ひーちゃんも、そうだろ?」
京一の言葉に、俺はコクリと頷いた。
「へへっ。愛しているぜ!ひーちゃん!」
俺は目を瞑ると、京一の首に腕を絡ませた。
僕が側にいるよ。
たとえ世界が崩れ去ろうとも・・・・・。
FIN.