カボチャ大王

                 後編

 

 

「綺麗だな・・・。」
暗い寝室に、所狭しと並べられたカボチャ提灯を、ベットの上に上がって、二人は寄り添いながら、ぼんやりと眺めていた。
「ねぇ、京一・・・。」
京一の肩に身体を預けていた龍麻は、カボチャ提灯の明かりを見つめながら、京一の名前を呼ぶ。
「どうした?ひーちゃん?」
ぐっと龍麻の肩を抱き寄せながら、京一は龍麻の顔を覗き込む。
「ありがとう・・・。」
「へへっ。気に入ったか?・・・おっと、ちょっと待ってな。」
京一は龍麻の頬に軽く口付けすると、ガサゴソとベットの下から、袋を取り出す。
「何?京一?」
興味深そうに、京一の様子を、龍麻は黙って見つめる。
「その袋・・・。」
京一が手にした袋が、ハンズの袋であることに気づいた龍麻は、驚いて袋を凝視する。
「へへっ。いいから、見てなよ。」
京一は袋からマントとカボチャ提灯のお面を取り出すと、身につけた。
「どうだ?ひーちゃん。」
「・・・どうだって言われても・・・・。」
なんとコメントしたら良いのかわからず、龍麻は、首を傾げる。
「俺、お菓子用意してないよ。」
龍麻の言葉に、京一は、がっくりと肩を落とす。
「違うぜ。ただの仮装じゃねーよ。これはだな、・・・・・カボチャ大王だ。」
「カボチャ大王〜!!」
言われてみれば、カボチャのお面には、王冠がついている。
「今日はハロウィンだぜ?カボチャ畑の中から、カボチャ大王が現れて・・・・。」
京一は、ポケットの中から、小さな箱を取り出すと、龍麻の手に、そっと置く。
「プレゼントを渡すんだ。・・・・だろ?ひーちゃん。」
「京一・・・・。」
京一は龍麻の手の中に収まった小さい箱を開けると、中から指輪を取り出し、龍麻の左手の薬指に、ゆっくりと嵌めた。
「へへっ。気に入ってくれたか?」
龍麻は、涙を流しながら、何度も何度も頷く。
「京一・・・。ありがとう・・・・。最高のハロウィンだ・・・。カボチャ大王に会えて、しかも、こんな嬉しいプレゼントも貰えて・・・。」
京一は、龍麻の身体を抱き締めながら、そっと耳元で囁いた。
「なぁ、ご褒美貰ってもいいか?」
京一の言葉に、龍麻は、そっと目を閉じると、唇を重ね合わせた。



                                               FIN.