「寒いなぁ・・・・。」
冬の寒空を見上げながらの俺の呟きに、突然、目の前に赤い色のマフラーが出現した。
「大丈夫かい?龍麻。」
そう言いながら、壬生がそのマフラーを首にかけてくれる。優しいなぁ壬生は。
そう思って、ニコニコ笑いかけたら、何故か壬生は真っ赤な顔で俯いた。どうしたんだろう?具合でも悪いのかな?
壬生の肩に手を置こうとして、次の瞬間、俺の手にはホッカイ●が渡される。
「さぁ、龍麻、これで暖かいだろ?」
いつのまにか如月が横に立っていて、ホッカイ●ごと、俺の手を握り締めた。うん。確かに暖かい。
こくりと頷く俺に、今度は、村雨が、コンビ二のおでんを俺に渡しながら、俺の肩に腕を回す。
「そんなカイロより、こっちの方が温まるぜ?」
湯気が立って、すごく美味しそうだ。俺は嬉しくなって、大根を一口食べようとした時、いきなり目の前から、おでんも、ホッカイ●もマフラーも消え、代わりに、京一の暖かい腕に包まれていた。
「「「蓬莱寺!!」」」
三人の声が重なる。何だか、メチャメチャ三人の顔が怖い。俺は怖くなって、京一の腕の中に隠れるように、身体を小さくさせた。
「ほらよ。」
殺気立つ3人に、京一はおでんとホッカイ●とマフラーをそれぞれ渡すと、俺の身体を抱き寄せながら、歩き出す。
「ひーちゃん。ラーメンを食いに行こうぜ!」
嬉々として俺に微笑むかける京一に、俺は頬を紅く染めた。
俺の欲しいもの。
それは、蓬莱寺京一ただ一人。
だって、マフラーよりもカイロよりもおでんよりも、俺を暖めてくれるし、俺を幸せにしてくれる。
だから、俺は京一だけが欲しい。
京一しかいらない。
そんなことを思い、俺は横を歩く京一に、にっこりと微笑みかけると、一瞬、京一は少し驚いた顔をしたけど、すぐ俺の好きな優しい笑顔で、俺にキスをくれた。
・・・大好き。京一・・・。
幸せな気分で、俺は目を閉じると、京一の腕に、自分の腕を絡ませた。
FIN.