いつもの風景。
いつも側にある京一の笑顔。
でも、もしもなくしてしまったら・・・?
「どうした?ひーちゃん?」
不安に襲われて、息すら出来なくなる俺に気づき、京一はその暖かい腕で、俺を包んでくれる。
ここにいると。
絶対に離れない。
そんな事を、囁きながら、俺の身体を優しく抱き締めてくれる。
「京一・・・。愛している。」
「俺もだ。龍麻。」
きつく抱き締めてくれる京一の腕に、俺は幸せを感じて、目を閉じる。
「龍麻・・・。」
暗闇の中で聞こえる京一の声。
もう、大丈夫だ。
例え暗闇でも、京一が側にいることを、俺は再び確認する。
もしかしたら、京一を一番強く感じたくって、俺はこんなことを繰り返すのだろうか・・・。そんな事を考えていると、ふと唇に何かが触れた。
ゆっくりと目を開けると、そこには、これ以上ないほど近づいている京一の顔。
俺は、再び目を閉じると、十分に京一の唇を堪能した。
こうして、俺の世界は再び、何事もなく、いつもの風景を映し出していくのだ。
FIN.