真神七不思議シリーズ・2

 

             叶えの雪

 

 

                   プロローグ

 

 

 

                  雪が降る・・・・。
                  辺り一面を覆い尽くすかのように、
                  白い雪が
                  音もなく
                  降り続ける。



                   “何故・・・・・。”
 


                   目の前の人物は、白い雪を紅く染めながら、
                   崩れ落ちる。



                   “何故なんだ・・・・・・。”



                   絶望が人をこんなにも弱くする。



                   “何故、裏切った・・・・・。”




                   問われても、自分は何も言わず、
                   ただじっと
                   絶望の色を濃く宿す瞳を
                   見つめ続ける。



                   “信じていたのに・・・・。”



                   その言葉に、ニヤリと笑う。



                   “お前の【望んだ】事だ。”



                   その言葉に、相手はハッと息を呑んだ。



                   “お前はこの【未来】を選択した。”



                   そう言いながら、再び剣を
                   突き立てた。



                    飛び散る鮮血。
                    降り注ぐ白い雪。




                    その中で、
                    暗い眼をした自分は、
                    ただ静かに
                    愛しい躯を
                    じっと見下ろしていた。

 

 

 

 

                                              【プロローグ・完】