雪が降る・・・・。
辺り一面を覆い尽くすかのように、
白い雪が
音もなく
降り続ける。
“何故・・・・・。”
目の前の人物は、白い雪を紅く染めながら、
崩れ落ちる。
“何故なんだ・・・・・・。”
絶望が人をこんなにも弱くする。
“何故、裏切った・・・・・。”
問われても、自分は何も言わず、
ただじっと
絶望の色を濃く宿す瞳を
見つめ続ける。
“信じていたのに・・・・。”
その言葉に、ニヤリと笑う。
“お前の【望んだ】事だ。”
その言葉に、相手はハッと息を呑んだ。
“お前はこの【未来】を選択した。”
そう言いながら、再び剣を
突き立てた。
飛び散る鮮血。
降り注ぐ白い雪。
その中で、
暗い眼をした自分は、
ただ静かに
愛しい躯を
じっと見下ろしていた。
【プロローグ・完】