最初は、私を捨てたショータローに復讐するために、
芸能人になろう思った。
最初は、敦賀さんを見返すために、演技の勉強を
しようと思った。
何もかも、他人がきっかけ。
でも、この【想い】だけは、自分の意志。
例え、目の前に誰が立ちはだかろうとも、
私はこの【道】を突き進むだけ!!
そう、思っていたんだけど・・・・・。
人生、何が起こるか分からない。
それは、最上キョーコが、【京子】に
なった事からも窺える。
でも。
でも!
でも!!
こんな事になるなら、この【仕事】を受けなかったのに。
私は先程から、どうして言いか判らず、ずっと下を
向いていた。
折角!私の目の前には、モー子さんがいるのに!
モー子さんと長期に渡ってのロケに、昨日の夜なんて、
興奮して眠れなかったのに!
モー子さんとお喋りをする為に、朝も一番乗りで
集合場所へと気合十分で来たのに!
なんで?
どうして?
私はこの2人の間に挟まれて、小さくなっていなくては
いけないんですか?
私の右横には、不貞腐れた顔のショータロー。
そして、私の左横には、さっきから、ニコニコと人の良い笑みを
浮かべて、先程から私のモー子さんとお喋りをしている、
事務所の先輩である、敦賀蓮さん。
だが、私の目は誤魔化されない。
敦賀さんは、表面上は、ニコニコとしているが、これは
自分のダークな部分を人に知られまいとする、一種の
自己防衛機能で、本心は大変機嫌が悪い事は
判っているんです。
だって、私の超高性能なダークな心を探知するレーダーに、
さっきからずっと引っ掛かっているんですから!!
神様。
何故私はこんなに大ピンチを迎えているのでしょうか。
そんなに私が嫌いですか?
それとも、
これは、私に喧嘩を売っているのでしょうか?
もしもそうだと言うのならば・・・・・・。
神だろうと許さない!!
神の妨害に負けるもんですかっ!!
目の前に壁が立ち塞がろうものなら、
そんな壁なんて、ぶち抜けばいいだけの話なのだから。