2.  世界を革命する力

 

 

             ちょ、ちょっと待ってくれよ!なんだよ。この話の急展開は!
             「き・・・君は一体・・・・。」
             「私はこの“世界”そのもの。“魔女“により、千年の孤独な眠りに
             つかされたもの。だが、その孤独も漸く終わる。“薔薇の刻印”を
             持つ者よ。汝、我が世界の源、“ディオスの剣”を継ぐ者、次代の
             “薔薇の花嫁”となり、再び我を光溢れる世界へと、革命せよ!」
             白い物体がそう叫ぶと、ボクの目の前に、一振りの聖剣が
             現れた。何かに導かれるかのように、ボクはその剣に触れようと
             した。
             “いけません!”
             突然、脳裏に響く声に、ボクは反射的に手を引っ込めた。
             「何をしている。“薔薇の花嫁”よ。剣を受け取るがよい。さすれば、
             “陽継ぎ”の儀式は終わる。」
             「ボ・・・ボクは・・・・・・。」
             心臓が早鐘を打ったように早い。本当にボクは、“薔薇の花嫁“と
             なるべく、“ここ”に来たのか?違うだろ!ボクは、ボクは・・・・・・・。
             “ウテナ様!私はここです!私を見て!」
             先程の巨大な扉の向こうから、声が響いてきた。その声を聞いた
             瞬間、ボクは全てを思い出した。自分が何者なのか。そして、
             “ここ”に来た訳も。
             「ボクは、天上ウテナ!“薔薇の花嫁”を・・・・姫宮アンシーを
             救いに来たんだ!」
             ボクがそう叫んだ瞬間、扉から光が放たれ、姫宮が泣きながら
             ボクの胸に飛び込んできた。
             「ウテナ様。ウテナ様。」
             「姫宮!」
             やっと再開できた喜びに、ボク達は暫く抱き合っていた。ハッと
             気が付くと、ボク達は光の中にいた。
             「あれは、一体なんだったんだろう・・・・・。」
             ボクの呟きに、姫宮はにっこりと微笑んだ。
             「あれは、“魔女”によって歪められた、“薔薇の花嫁”の心の闇の
             世界。でも、ウテナ様のお蔭で、彼女も無事昇華できたのです。
             ありがとうございます。ウテナ様。ウテナ様は世界を革命し、私を
             助けてくださいました。」
             「なんかよくわかんないけど、姫宮とずっと一緒にいられるんだね。」
             ボクの言葉に、姫宮は力強く頷いた。
             「えぇ。私は“薔薇の花嫁”ではなく、“ウテナ様の花嫁”です。ずっと
             ずっとお側におりますわ。」
             そう言うと、姫宮は本当に幸せそうに微笑んだ。





             薔薇の封印が解かれた世界は
             光が溢れる千年王国(ミレニアム)。
             むかし むかしの おとぎ話。
             真実の愛が世界を革命する。

 

 

 

 

                                              FIN.