「それじゃあ、行って来る。」
幾分青ざめた表情のエドを、ロイは心配そうに抱きしめる。
「エディ・・・・。やはり私も一緒に・・・・・。」
行こうと言うロイに、エドはふるふると首を横に振ると、ロイを
見上げた。
「これは、俺のけじめだから。」
「エディ・・・・・。」
エドは、ギュッとロイにしがみ付くと、ロイの胸に耳を押し当てる。
「安心する・・・。ロイ。」
「エディ?」
エドはにっこりと微笑みながら、顔を上げた。
「俺、大丈夫。だからロイは執務室で俺を待っていて?ね?」
自分の帰る場所はあなたのところだからと、言われ、ロイは
苦笑する。
「ずるいな。エディ。そう言われたら、私が折れるしかないではないか。」
「大好き。ロイ。」
エドは背伸びをしてロイの頬に軽く唇を付ける。
「行ってきます。」
「いってらっしゃい。エディ。愛しているよ。」
ロイは優しく微笑むと、エドの唇に啄ばむようなキスを送った。
「さて。行くか。」
エドは、セントラル駅前にあるホテルの一室の前で、かれこれ
15分間は佇んでいた。この扉の向こうには、最強の主婦、
イズミ・カーティスが、エドの到着を今か今かと指をボキボキ鳴らして
待っているだろう。
(やっぱ、ロイに付いてきてもらえばよかったかも〜。)
半分涙目になりながら、直ぐに首を横に振る。これは自分のけじめ
なのだ。ロイにばかり頼っていてはいけない!そう思い、エドは
意を決してドアノブに手をかけようとした瞬間、中から怒鳴り声が
響いた。
「この馬鹿弟子がっ!!いつまでそこに立っているつもりだっ!!」
「ひえええええええええ!!」
条件反射で、エドは頭を抱えてその場に蹲る。いつもなら
怒りのイズミの蹴りと共に開いたドアの直撃を受けるのだが、
いつまで経っても衝撃が起こらない事に、エドは恐る恐る顔を
上げる。
「へっ?何で?」
閉ざされたままのドアに、エドは困惑する。
その時、カチャッと音がして、ドアが開かれた瞬間、エドは
あたふたと廊下を這いずって逃げようとするが、掛けられた声に、
エドは硬直する。
「姉さん・・・・。どこ行くの・・・・?」
どんよりと黒いオーラを纏ったアルフォンスが、ドアから顔を覗かせて
いた。
(ひええええええ。アルが怒ってる〜!!)
滅多に見ない超不機嫌なアルの様子に、エドは脱兎のごとく逃げたく
なったが、部屋の奥から聞こえる師匠の声に、エドは渋々立ち上がると、
部屋の中に入った。
(き・・・・気まずい・・・・・。)
予想に反して、有無を言わせないイズミからの攻撃はなかった。その代わり、
テーブルを挟んで、エドの向こうには、足と腕を組んで目を閉じている不機嫌な
イズミと、その横で黒いオーラを発してじっとエドを睨みつけているアルが座って
おり、あまりの居心地の悪さに、エドはただ俯く事しか出来なかった。
そんな蛇に睨まれたカエルよろしくエドに、蛇の1人、アルが言い訳は許さないと
ばかりに、じっとエドを見据えたまま言い出した。
「姉さん。姉さんと准将って・・・・。」
「アル。その話は後だ。」
アルの言葉を遮ったイズミは、カッと目を開くと、エドをじっと見つめた。
「で?結論は出たのか?」
「せ・・・師匠(せんせい)・・?」
きょとんとなるエドに、イズミは目を細める。
「国家錬金術師を続けるか、続けないか、結論は出たのかと、聞いている
んだ!!その為に、マスタング准将の別荘へ行ったのだろ?」
「師匠、どうして、それを・・・・・。」
驚くエドに、不機嫌なアルが説明する。
「僕たち、一昨日、マスタング准将に会ったんだよ。」
「え!?何でロイと!!」
自分には知らされていない事実に、エドは驚いてイズミとアルを交互に
見渡す。
「・・・・・・一昨日、わざわざ僕たちが乗った列車を止めて、准将が来たんだよ。
姉さん、知らなかったの?」
怪訝そうなアルに、エドはコクリと頷くと、イズミに向かって尋ねる。
「それで、ロイは何と・・・・・。」
「・・・・准将は、お前に道を選ばせて欲しいと言いに来たんだ・・・・・・。」
イズミは、溜息をつくと、一昨日の事を話し始めた。
「それで?話とは?」
あるレストランの個室では、不機嫌なイズミとアルを前に、ロイは
涼しげな笑顔で、テーブルを挟んで、向かい側に座って、
コーヒーを飲んでいた。
「何か他に召し上がりませんか?」
ニコニコとメニューを薦めるロイに、イズミは差し出されたメニューを
脇にどける。
「コーヒーだけで結構。私達は一刻も早く中央へ行って、馬鹿弟子を
一発殴るっていう、大事な用事があるんでね。のんびりとしている
時間はないね。」
不機嫌も顕なイズミの横では、怒りを隠そうともしないアルフォンスが、
思い切り頷く。
「そうですか。ですが、今から中央へ行っても、エドワードには、
逢えませんよ。」
ロイの言葉に、ピクリとイズミの片方の眉が跳ね上がる。
「なんだってぇ?」
「どう言う事ですか!!准将!!」
バンと机に両手をつくようにして、身を乗り出すアルに、ロイは
真剣な目を向ける。
「鋼のは、今私の別荘にいるよ。」
ロイは視線をアルからイズミに移す。
「彼女には、時間が必要と判断しましたので。」
彼女という言葉に、アルは、過剰に反応する。
「じゅ・・・准将!!まさか!!」
対するイズミは、取り乱さず、じっとロイを見つめながら言った。
「アンタ、エドの性別を知っているのか?」
「はい。彼女に最初に出会った時から。」
頷くロイに、アルは絶句する。では、自分達は無駄な努力をして
いたのか。がっくりと肩を落とすアルとは違い、イズミはあくまでも
ロイをじっと見据えていた。だが、アルは知っている。イズミが
ロイの隙をついて、錬金術で攻撃をしようと、先程から機会を伺って
いることを。そして、対するロイも、表面上は穏やかな笑みを浮かべ
ながらも、一分の隙もみせないところは、さすがに准将に上り詰めた
だけはあると、アルフォンスは妙に感心していた。
「アンタ、エドが女と知っていて、一つ屋根の下で2人で生活したと
そう言うんだな?」
ゴゴゴゴゴ・・・・・という轟音と共に、イズミは両手を胸の前でパンと
合わせる。
「ええ。そうです。」
頷くロイに、イズミは合わせた両手を、今度はテーブルの上に置く。その
直後、テーブルからロイ目掛けて、突起物を出すが、ロイはじっとイズミを
見つめたまま、微動だにしなかった。ロイの目の前スレスレで止まる
突起物に、アルはゴクリと唾を飲み込む。
「・・・・イズミさん。誤解のないように言っておきますが、私とエドワードの
間に、肉体関係はありません。」
「・・・・・肉体関係云々を言っているんじゃない!!常識として考えろと
言っているんだ!!」
どこまでも冷静なロイに、イズミの一喝が飛ぶ。そのあまりの凄まじい怒鳴り
声に、アルの方がビクビクと壁際へと避難する。
「確かに、あまり褒められた事ではないと重々承知しております。しかし、
何故エドワードと私が一緒に暮らしていたとお尋ねにならないんですか?」
ロイの言葉に、イズミは溜息をつく。
「エドの話だと、査定の研究の為だとか?だからと言って、何でアンタと
暮らさなければならない?」
底冷えする瞳をロイに、向けながら。イズミはじっとロイを観察するのを
怠らない。
「その前に、イズミさんにお聞きしたい事があります。」
「聞きたいこと?なんだい?それは。」
怪訝そうなイズミに、ロイは持っていた書類をイズミに差し出す。
「これは?」
「今年改定になった、国家錬金術師規則とエドワードと私の共同研究の
写しです。ご覧下さい。」
それに驚いたのは、イズミだった。
「研究を他人に見せるだと!?」
信じられないというような顔のイズミに、ロイは苦笑した。
「驚かれるのも無理はありませんが・・・・。今年から、国家錬金術師の
ありかたそのものが、変わったんですよ。」
「あり方が・・・・変わった・・・・・?」
眉を顰めるイズミに、ロイは頷く。
「内乱続きだった昔とは違い、平和になった現在、軍の在り方を問われる
時代へと変貌してきたのです。今までのイメージを払拭させるためにも、
まず国家錬金術師の在り方が変わるんです。」
「変わるとは?」
イズミの問いかけに、ロイは一言言った。
「錬金術師よ、大衆のためにあれ。」
ロイの言葉を聞いて、イズミとアルが息を呑む。
「人間兵器ではなく、民衆のためになる錬金術師に、国家資格を
与えられるのです。これでもまだ、国家錬金術師に嫌悪をお持ちに
なられますか?」
真剣な表情のロイを、イズミは無言で見つめながら、イズミはロイの
真意を探ろうとしていた。
「つまり、国家錬金術師は人間兵器ではないから、エドの国家錬金術師
継続を認めろってことか?」
だが、イズミの予想を裏切って、ロイは首を横に振る。
「いえ、違います。先程も言った通り、彼女は自分の進みべき道を
まだ迷っているところがあります。彼女がどんな道へ進もうとも、
黙って見守っていて欲しいのです。お願いします。彼女に自分の
道を選ばせて下さい。」
頭を下げるロイに、イズミは、何も言わず、パラパラとロイから渡された
研究レポートの写しを捲った。
「・・・・暗号化していないのか?」
「ええ。大衆に広く使ってもらうために、暗号化は、廃止されました。」
イズミは素早くレポートを読み終わると、顔をロイに向ける。
「・・・・確かに、国家錬金術師を反対する理由はなくなったな。」
イズミの言葉に、ロイは初めてホッとした表情を浮かべる。だが、
イズミは、厳しい表情のまま、ロイを睨みつける。
「今はこれでいいかもしれん!だが、またいつ戦争が起こるかわから
ない。」
「ご心配はごもっともです。ですが、エドワードの手を血に染める事
だけは、私が絶対にさせません。」
きっぱりと言い切るロイに、イズミは声を荒げる。
「この世の中に、絶対という言葉はない!」
「あります!信じていれば必ず!!」
負けじとロイも怒鳴り返す。そんな2人の様子を、アルフォンスは、
ただオロオロとすることしか出来なかった。
「何を根拠に!!」
その言葉に、ロイは穏やかに微笑んだ。
「エドワードの存在に誓って。」
「エドの・・・・?」
ロイはゆっくりと頷くと、静かに語り始めた。
「エドワードは私の光なのです。」
驚くイズミに、ロイは照れくさそうに笑った。
「私には夢があります。大総統になって、この国を戦いのない
平和を国にしたいと。その原動力となっているのが、
エドワードの存在なのです。」
「アンタ・・・・・エドの事を・・・・・。」
イズミの言葉に、ロイは真剣な表情で頷いた。
「初めて逢った時から、ずっと愛してきました。例え、この想いが
彼女に受け入れてもらえなくても、私は彼女がいるこの国を、
平和にしたいと、そう思っています。」
ロイは、そこで一旦言葉を区切ると、椅子から立ち上がり、イズミに
深々と頭を下げた。
「お願いします。エドワードの選んだ道を見守って下さい。」
そんなロイに、イズミは頭をガシガシ掻きながら、椅子から立ち上がる。
「行くぞ!アル!!」
部屋の隅で震えているアルに、イズミは声をかけてスタスタと
出口へと向かう。
「待ってください!!」
慌てて追いかけるロイに、イズミは振り向きざま鳩尾に、強烈な一撃を
与える。
「・・・・・へぇ?私の渾身の一撃を鳩尾に受けて、呻き声を上げずに
踏みとどまったのは、アンタで二人目だ。」
「・・・光栄です・・・ね・・・・。それで、栄光ある一人目はどなたです?」
ロイの言葉に、イズミはニヤリと笑う。
「決まっている!世界で一番の私のダンナだ!!」
ロイはフッと顔を綻ばせると、鳩尾を押さえながら、イズミからニ・三歩
後ろに下がる。
「・・・・それで、何で、今の攻撃を避けなかったんだ?」
アンタなら可能だろ?と問われ、ロイは苦笑する。
「これくらいは、甘んじて受けるべきだと・・・・・。」
ロイの答えに、満足したのか、イズミはニヤリと笑うと、クルリとロイに
背を向けた。
「私達はセントラル駅前のホテルに滞在する。馬鹿弟子に伝えておけ!
ハンパな気持ちで道を選ぶなと!!」
「必ず・・・・。」
その言葉を聞いて、イズミは振り返らずに、アルを連れて扉から
出て行った。
「そんな・・・ロイ・・・・・。」
イズミの話を聞きながら、エドはポロポロと涙を流す。
「で?お前はどうしたいんだ?」
イズミの静かな問いかけに、エドは乱暴に涙を腕でゴシゴシ擦ると、
決意に満ちた瞳をイズミに向けた。
「師匠、オレ、国家錬金術師を続けます。」
「何故だ。」
少しの誤魔化しも許さないとばかりに、イズミはエドに鋭い視線を
向ける。だが、今度はエドもそれに怯むことなく、真っ向からイズミを
見つめた。
「師匠、オレ、ずっとロイが好きでした。」
エドの告白に、アルは滂沱の涙を流すが、口を挟む前に、エドは
言葉を繋げた。
「オレ、ずっと男と偽っていたから・・・それに、ロイもオレなんか相手に
しないって、思っていた。だから、せめてロイの役に立つように、
捨て駒として国家錬金術師を続けようと・・・そう、思っていた。」
エドは、ギュッと唇を噛み締めると、じっとイズミを見続ける。
「今年から国家錬金術師のあり方が変わったと言っても、まだまだ
世間の風当たりは強い。だから、オレはロイの盾になる事に
決めたんだ!!だけど・・・それをロイに怒られた・・・・・。」
エドの言葉を、イズミは目を瞑って、黙って聞いていた。
「ロイが欲しいのは、生きた盾ではなくて、共に人生を
歩いてくれるパートナーだと言われ、オレは正直言って、
すごく怖かった。禁忌を犯した事がバレたら、ロイにも
迷惑が掛かってしまう。そうなる前に、ロイから離れようと
思った。でも、出来なかった・・・・・・。」
エドはそこで一旦言葉を切ると、イズミに決意を込めた眼を
向けた。
「オレは、オレ自身の意志で決めました。ロイの手助けに
なるように、民衆と軍との橋渡しになろうと。だから、
国家錬金術師を続けます!!」
許してくださいと頭を下げるエドに、イズミは、音を立てて
椅子から立ち上がると、ツカツカとテーブルを回り、エドの
傍らに立つと、拳を振り上げた。
「この馬鹿弟子がっ!!!!」
殴られると思い、エドは反射的に眼を瞑ったが、次にエドを
襲ったのは、殴られた衝撃ではなく、優しい抱擁だった。
「せ・・・師匠・・・?」
キョトンとなるエドを、イズミはきつく抱きしめた。
「馬鹿弟子がっ。いつの間にか、こんなに成長して・・・・・。」
優しいイズミの言葉に、エドはフルフルと首を横に振る。
「成長なんてしていません。今だって、ずっとロイに守られて
ばかりいる・・・・。オレは無力です・・・・。」
しゅんとなるエドに、イズミはクスリと笑う。
「エド、自分を無力だと気づくのは、簡単ではない。そして、
それを受け入れるには、勇気が必要だ。お前は、立派に
己の心と向き合い、そしてちゃんと答えを・・・進むべき
道を見つけた。私はそれが嬉しいんだよ。」
「せ・・・師匠!!」
エドはポロポロ涙を流すと、ギュッとイズミにしがみ付いた。
「さぁ、そろそろマスタングさんの元へ帰りなさい。今頃、
心労で倒れているかもしれんぞ?」
なんせ、お前にベタ惚れだからな。というイズミに、エドは
真っ赤になる。
「では、師匠。オレはこれで・・・・・。」
ペコリと頭を下げて、部屋から出て行こうとしたエドに、イズミは
思い出したように、声をかける。
「ああ、エド。お前に言い忘れた事がある。」
「な・・・なんですか・・・?」
僅かに引きつった顔で振り返ると、イズミは不敵な笑みを浮かべる。
「世界で一番のダンナを持った、世界で一番の幸せな主婦は、
私だということを、覚えておけ!!だから、お前は二番を目指せ。」
その言葉に、一瞬呆気に取られたエドだったが、直ぐに頬を
紅く染めながら宣戦布告をする。
「絶対に師匠達には、負けません!!」
「まっ、せいぜい頑張れ。」
ヒラヒラと手を振るイズミに、エドはニッコリと微笑むと、ペコリと頭を
下げて、今度こそ部屋を出て行った。パタパタとエドの足音が
聞こえなくなると、イズミは、放心状態で椅子に座っている
アルフォンスに声をかける。
「お前も、何時までショックを受けているんだ!姉の幸せを
祈ってやれ!!」
パコンと頭を殴られ、そのままの勢いで、アルはコロンと椅子から
転げ落ちた。
「ね・・・姉さん〜。」
アルの滂沱の涙は、部屋の中に一筋の川を作った。
「でよ?そんときエリシアちゅわんがさぁああああ〜。」
同じ敷地内にいるはずなのに、仕事で手が離せないと
言いつつも、ヒューズは内線を使って、もう既に3時間以上
親バカトークをロイに聞かせ続けており、ロイは、そろそろ
我慢の限界だった。
「いい加減にしないか!ヒューズ!!」
本気で怒っているロイに、ヒューズはハハハハ・・・と、笑い出す。
「ん〜?どうした?ロイ?そうか。そうか。羨ましいんだな。
そうなんだな?だからいつも言っているだろ〜?早く
嫁さんを貰えって!」
切れたロイに、ヒューズもいつものセリフで応戦する。だが、今回は
全く予想外の行動にロイは出た。
「貰うぞ。」
「はぁ?何だって?」
聞き返すヒューズに、ロイはクククと笑い出す。
「おい?ロイ?」
からかい過ぎて、おかしくなったか?と半ばヒューズが心配した
頃、ロイは上機嫌な声で言った。
「嫁を貰うと言ったんだ。ヒューズ。」
その衝撃なロイの告白に、一瞬ヒューズの頭は真っ白になった。
「それって・・・もしかして、エドが・・・・・。」
「ああ。そろそろ私のエディが戻ってくる頃だ。じゃあな、
ヒューズ。」
「なっ!!おい!ロイ!詳しく説明・・・・・。」
ロイはヒューズの言葉を無視すると、さっさと電話を切る。
「ロイ!!」
受話器を置いたと同時に、ノックもしないで、ロイの愛しい少女は、
幸せそうな笑みを浮かべて、駆け込んできた。
ロイは、にっこりと微笑むと、椅子から立ち上がり、机の横に立つと、
両手を広げた。
「エディ。おいで。」
「ロイ!!」
胸に飛び込んでくるエドに、ロイは嬉しそうに微笑むと、ギュッときつく
抱きしめ、耳元で囁いた。
「おかえり。エディ・・・・。」
「ただいま。ロイ・・・・・。」
2人は顔を見合わせて微笑み合うと、ゆっくりと顔を近づけていった。
*****************************
最強主婦との対決!!編です。
(でも、対決になっていない・・・・・。)
次回は、いよいよ最終回です。