どっちの夫婦ショー 番外編

 第7回反省会 ロイとエドワードの場合




「えぐえぐえぐえぐ・・・・。」
「ああ!エディ!そんなに泣かないでくれ。」
自分の膝の上にチョコンと座っている愛妻が、先ほどからずっと泣いている様子に、
ロイの心がズキズキと痛む。
「だって・・・俺・・・ロイを信じられなくってぇ・・・・・。」
ごめんなさいとキュッと自分に抱きつくエドに、ロイはこんな時ではなければ、
嬉しくてどうにかなってしまうだろうと思うが、泣かせている原因が、嵌められたとはいえ、
自分であるのが分かっている為、申し訳ない気持ちで一杯になる。
「エディ。誰だって、あんな場面を見せられて、冷静でいられる訳ないじゃないか!私だって、
君に男が抱き着いたら、冷静ではいられない。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・でも、千鶴は冷静だったって・・・・・・。俺、自分じゃわからなかったけど、
心のどこかで、こと夫婦に関しては、あの二人には絶対に負けないと自惚れてたのかもしれない。
・・・・・・・・・そんな絶対なんてありえないこと、今まで散々経験してたのに・・・・・・・・・・・・・。」
シュンと俯くエドを、ロイはギュッと抱きしめる。
「だがね、エディ。よく考えて御覧。今回、確かに我々は負けたのかもしれない。だが、
夫婦としては負けたとは思っていないよ?むしろ、私は勝ったと思っている。」
「勝った?」
顔を上げてエドはキョトンとロイを見上げる。そんなエドに、ロイは穏やかに微笑んだ。
「夫婦だからこそ、悲しくなったんだろ?違うかい?」
「・・・・・・・・・・・・悲しかった。どうしてロイに女がって・・・・ふええええええ。」
また思い出してしまったのか、再び泣き出すエドを、ロイはきつく抱きしめる。
「だろ?悲しいのは、それだけ相手を思っているからだ。千鶴殿が冷静に対処したというのは、
まだあの二人が夫婦・・・・・以前に両想いではないからだ。だから、エディが気に病むことはない。」
「う・・・・ん・・・・そうなのか?」
まだ納得いかないのか、エドは不安そうにロイを見つめる。
「ああ。ここだけの話、あまりにも、冷静な対応に、土方殿は、自分が千鶴殿に男として
見られていないのではと、あの後、かなり落ち込んだらしいぞ?」
片目を瞑ってクスリと笑うロイに、一瞬の驚きの後、エドはクスクスと小さく笑う。
「・・・・・・・そりゃあ、土方さん、すごく気の毒だな。」
「だから、私は嬉しいよ。君に嫉妬してもらえて、すごく愛されていると実感できたからね。」
「・・・・・・・・・あんた、マゾ?」
怒られて嬉しいなんて・・・・と、呆れた顔のエドに、ロイは声を立てて笑った。それに釣られる様に、
エドも笑顔を見せる。
「愛しているよ。エディ。」
ロイはギュッと再びエドを抱きしめる。
“私のエディをここまで傷つけるとは・・・・・・・・・・・許さない!”
ロイはエドを抱きしめたまま、内心大総統夫人に対して、どう報復しようかと、暗い笑みを浮かべた。









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