月の裏側

              〜 Love Phantom 〜

            

 

                       プロローグ

  

 

                      本当は、誰にも言ってはいけないの。
                      そう、目の前の黄金の子供は、
                      くすくす笑いながら、そっと私に耳打ちする。


                      「オレの本当の名前は、・・・・と言うの。」
                      大事な秘密を教えてくれた子供の頭を
                      優しく撫でる。
                      「私に教えても良かったのかい?」
                      少し、戸惑う表情で尋ねると、子供は、太陽の
                      ような笑顔を私に向ける。
                      「大丈夫!オレ、アンタが好きだから!」



                      初めて逢った人間に、
                      良くそんな事が言える。
                      これも、子供だからなのだろう。




                     しかし、君はもっと私を警戒しなければいけなかったんだよ?



                     「秘密を教えてくれてありがとう。」
                     そう微笑むと、子供は幸せそうな顔で微笑む。




                     だが、その太陽のような笑顔ですら、既に闇で閉ざされた
                     私の心には、一筋の光を与えてはくれない。




                     「いつか、また逢えたら・・・・・。」
                     私は、そっと子供に耳打ちをする。
             



                     「その時は、私の役に立ってもらうよ。





                     可哀想な子供。
                     私に出会わなければ、
                     光の中で暮らせたのにな・・・・・・・。