リトル・まぁあめ(豆)エド

                    第13話

 

            
                  月明かりの中、リザ姫は、エドに真剣な目で訴える。
                  「エドワードちゃん!いい!これからもしもあの無能王子に
                  付きまとわれるようならば、迷わずこれで撃ちなさい!!」
                  そう言ってエドの前に拳銃を置く。
                  「・・・・リザ姫。いまの姉さんのサイズでそれは
                  大き過ぎ・・・・・。」
                  「だーれが、拳銃に押しつぶされるよーな、
                  ハイパーウルトラドチビかーっ!!」
                  アルの言葉に、エドは怒り出す。しかし、悲しいかな。
                  ミニチュアサイズでいくら怒っても、誰も恐がらない。
                  むしろ超絶可愛い〜になってしまうのだ。
                  恐るべしミニチュアエド。
                  「あのねー、姉さん。現に今はその【拳銃に押しつぶされるよーな、
                  ハイパーウルトラドチビ】なんでしょ?どこが間違っているの?」
                  アルは呆れて、憤慨しているエドの頬をツンツンと
                  突っつく。
                  「俺だって好きでこんなサイズじゃ・・・・・。」
                  うううううう・・・・と、目に一杯涙を浮かべて
                  蹲るエドに、リザ姫は、慌てて抱きしめる。
                  「大丈夫よ!明日になれば、私が元に戻してあげるから!」
                  「リザ姉様が・・・・?本当?」
                  パッと顔を上げて、キラキラと目を輝かせるエドに、
                  リザ姫はニッコリと微笑む。戻すもなにも、明日になれば
                  エドの術は切れるのだ。だが、その事を敢えて言わずに、
                  エドに自分の有能さをアピールしようとリザ姫は
                  瞬時に計算した。
                  「ええ。私が嘘を言った事があった?」
                  ふるふると首を横に振るエドに、リザは満足そうに微笑む。
                  これでエドを完全に手に入れたと、先ほどからご満悦である。
                  「じゃ、ボク、そろそろ帰るね〜。リザ姫、後をお願いします。」
                  「あら、もう少しいればいいじゃない。久々の姉弟再会なのよ?」
                  お気に入りその2である、アルフォンスが帰ると言い出し、
                  リザは面白くない。そんなリザ姫に、アルは申し訳なさそうに
                  ペコリと頭を下げる。
                  「ごめんなさい。早く戻って姉さんが無事だって皆に
                  知らせたいんです。それに・・・・、こんな鎧じゃなくって、
                  ちゃんとした姿でリザ姫と逢いたいし・・・・。」
                  「アルフォンス君!!」
                  アルの言葉に、リザ姫は感動する。
                  「わかったわ!私の国に帰ったら、皆で今度こそ一緒に
                  遊びましょうね!!」
                  「はい!じゃあ、姉さん、明日ね〜。」
                  アルは、そう言って手を振って帰ってしまう。
                  「明日が楽しみだわ〜。」
                  明日からの楽しい日々を思い浮かべて、リザ姫は
                  先ほどからニコニコと上機嫌だ。
                  だから、気づかなかったのだろう。
                  エドが悲しい顔をしている事に。